二郎のこんなことをやりました
野球エピソード/その1
大阪場所の千秋楽の夜、新幹線のグリーン車で帰路についていた時ですよ。名古屋から長嶋さんが乗ってきたんです。当時はまだ監督に復帰する前のいわゆる「浪人時代」だった彼とは久しぶりの対面でした。
私の席がドアを入ったすぐのところだったので長嶋さんが通りがかりに顔をあわせて「やぁお久しぶり!」と挨拶して彼は真ん中辺の自分の席に行きました。途中何の話もなく(浪曲みたいですが)間もなく新横浜に着くという社内放送があった直後です。本を読んでいた私のはす前に人影が立ったんです。「?」と見上げたら、そこに長嶋さんが立っているんですよ。「私、新横浜で降りますから。又お会いする日を楽しみにしてます」って挨拶されちゃったんです。
私あわてて立ち上がりましたよ。あの長嶋さんがわざわざ先に下りるかって挨拶に来たんですよ!しかもまだ荷物は席に置いたままで!つまり通りがかりについでに寄ったんじゃないんですよ。
今までにね、新幹線や飛行機の中でいろんな知名人と出会いましたけど、別れ際にちゃんと挨拶に見えた人は始めてです。というよりたいていは下りる頃には忘れちゃってるんですよね。それが長嶋さんはそうじゃなかった。これを見ても彼が気配りのする繊細な人だということがお解りになるでしょう?
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