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二郎のこんなことをやりました

スピードスケートエピソード1

西武が日本では始めてのパイピングリンクを軽井沢に作ったのを記念してスピードスケートの世界選手権が開かれたときの話です。本大会の前に箱根の駒ケ岳で国際記録会をやることになってその会に当時の500メートルだけはメッ茶早かったソビエト連邦のグリシンという男子選手がいましてね、滑れりゃ記録更新という全盛期。そのグリシンが駒ケ岳大会に出るというので軽井沢も担当が決まっていた私は当然駒ケ岳にも行く事になったんです。

前日の夕方、当地に着いたんですが、なんと!どしゃ降り!「おいおいねこれじゃ明日はだめじゃないの?」「温泉に入りに来たと思えばいいさ」なんて不謹慎な会話を交わして寝ました。一夜明けたら幸い雨は止んでいました、が、視界500メートル前後の物凄い霧!正に霧を書き分けるようにして現場に行きました。この駒ケ岳スケートリンクというのは真ん中にインドアのスケート場があって、かまぼこ型の屋根の周りを囲むように一周400メートルのトラックがある屋外リンクという作りで、入口から最も奥手正面の山を削った土手が観覧席という作りでした。トラックの真ん中にインドアの屋根があるので土手山のテッペン近く上らないとバックストレートが見えないんですよ。

雨上がりの滑る階段をそろそろと上ってリンクを見下ろした私は思わず「ひぇーっ」と奇声を上げちゃいました。だって濃霧で手前のスタートから100メートル地点を過ぎて第一カーブの入口までしかみえないのですよ!cbそこから先は「霧の中」。「どうしよう」「弱ったな」ディレクターとあれこれ思案した結果、ひょっと思いついたのがグリシンが最近出したときの100メートル毎のラップタイム。これを参考に「憶測実況をやろう」という事にしたんです。

「これしか方法ないね」「うまく行かなかったらそのときはそのときだよ」やがてグリシンの番が来て号砲一発スタート!「グリシン、悪天候にも関わらずまずは安定したペースで100メートルを通貨、第一カーブにかかります…」ここからはストップウォッチとにらめっこで憶測実況です。「グリシン、第二カーブを出てバックストレートにかかりました。アウトコースからインコースへ、クロッシングも全く問題なく早くも第三カーブに入りました。後ろに右手を大きく振りながらカーブを曲がっています。さぁいよいよ第四カーブです」(おい、ちゃんと出て来てくれよ)私は祈るような気持ちで喋り続けました。100の通過時間で今日のペースはだいたい掴んでいましたから、後は秒針の動きからこちらの予想通りに来てくれれば良い。そう思いながら第四カーブにめをこらしていたら・・・・来たんですよ、来たんです!私のアナウンスに合わせるように巨体を大きく前傾させながらグリシンが!後で録音テープを聞いて私は思わず大声で笑っちゃいました。「グリシン、出てきました!第四カーブからグリシンが出てきました」
出てきたっていう実況はないですよね。